日本人の死因、第1位の病気をご存知でしょうか?
「悪性新生物(がん)」です。
現在、日本人の3人に1人はがんで亡くなると言われています。
その中で、大腸がんは罹患率・死亡数ともに年々増加を続けており、がんの部位別死亡数では第2位となっています。
大腸がんは死に直結するだけでなく、治療はできたものの一生人工肛門を使うことになってしまうなど、個人のQOL(生活の質)を大きく下げる原因となります。
また、大腸がんだけでなく「胃がん」「食道がん」など消化器のがんが近年では増加してきています。なぜ増えているのか?それには現代人の食生活や生活習慣が密接に関わっています。
どんな生活習慣でなりやすいのか?逆に予防するにはどうしたらいいのか?今回は、がんの中でも特に生活習慣との関連が深い大腸がんについて、詳しくお伝えしていきたいと思います。
目次
まず、腸ってどうなってるの?
腸は全長約7~8mあり、約5~7mの小腸、約1.5~2mの大腸に分けられます。
小腸は十二指腸・空腸・回腸に分けられます。食べ物から得られる栄養素と水分のほとんどが、小腸で吸収されます。
では今回のがんの部位、大腸では何をしているかというと、小腸で消化した食べ物の残り(消化物)から、水や電解質などを吸収して便を形成します。小腸から大腸に入ったばかりの消化物はドロドロしていますが、上行結腸~横行結腸~下行結腸と大腸の中を移動していくうちに、水分が吸収されて硬い便になっていきます。
できた便はすぐには排泄されず、S状結腸~直腸に蓄えられます。ある程度の量が溜まると便意が起こり、肛門からお通じとして排泄されます。
圧倒的にがんができやすい場所がある
大腸がんの中でも、圧倒的にがんになりやすいのはS状結腸・直腸です。
つまり「お通じが溜まっている部位」です。
排便 = 身体に要らないものや、吸収できないもの
ということ。
老廃物や、食べ物に含まれる毒素・発がん性の物質など、身体に取り入れたくない成分が排便中には含まれています。いらないものが消化管の中で最も長く留まっている部位が、S状結腸・直腸なので、必然的にがんになりやすいということになります。
大腸がんが増えた原因
大腸がんが増加した要因は、日本人の食生活の変化や高齢化だといわれています。
いわゆる「食の欧米化」や、加工食品の増加、野菜の摂取量の減少などです。
食物そのものからの害と、栄養の偏りやライフスタイルの変化による便秘が、大腸がん増加の大きな要因ではないかといわれています。
つまり、
ということではないでしょうか。
最近、腸活が注目されてるのも納得です。
もちろん、これが100%当てはまるということではなく、遺伝的な要因が明らかになっている大腸がんもあります。それは今後紹介していきたいと思います。
大腸がんになったら・・・?代表的な症状
大腸がんの代表的な症状として、血便・排便異常・腹痛などが挙げられます。
ある程度がんが進行してくると、大腸内に出血が起こったりすることで便に血液が交じるようになります。そうすると大腸の通り口が狭くなるので、便秘と下痢が繰り返し起こったりします。
ただし、初期ではほとんど症状が現れません。血液が混じっていても、出血部位によってはお通じの色と混じり気づきづらく、便秘や下痢も普段から起こることのため、なかなか自分で気づくのは難しいのではないでしょうか。
検査で見つかることが多く、早く見つかれば完治しやすい
自覚症状に乏しい大腸がんは、がん検診などで見つかることが多いそうです。早期の小さながんあれば、内視鏡などで切除しやすく予後への影響も少なくなります。
便潜血反応検査
いわゆる検便です。お通じの中に血液が含まれていないか検査します。
直腸検診
肛門から直腸に指を入れて、腫瘍の有無や部位を調べる検査です。キャー!!!
進行して大きくなっている場合、発見しやすいようです。
大腸内視鏡検査
肛門から内視鏡(ファイバースコープ)を入れ、大腸全体を見る検査です。小さなポリープまで発見できます。検査中に大腸の組織を採取することもでき、確定診断につながります。
内視鏡検査をする場合、前日から下剤を飲むなどして、大腸を空っぽにする必要があります。ううう。
他にも検査は色々と
注腸造影検査(肛門からバリウムと空気を注入して大腸をX線撮影!)、画像診断(CT、MRI、超音波検査)などがあります。
治療・・・これだけは知っておいてほしい
実際に大腸がんにならない限りは、治療内容まで知る必要はないと思います。
ただ、ひとつだけ、人工肛門を作らなければならなくなる可能性があることは覚えておいてください。
がんの進行により肛門を残せなくなった場合、肛門以外の場所からお通じを出さなければならなくなります。
これは、
「自分の意思でお通じをコントロールできない」
「服で隠していないと、お通じ(の袋)が人から見えてしまう」
という状況を、ほとんどの場合一生続けなければならないということです。
勉強したい方へ、様々な治療法
内視鏡的治療 | 肛門から内視鏡を挿入し、ワイヤーや高周波電流を利用して病巣を切除する。 |
腹腔鏡手術 | へその下に1cmほどの穴を開け、腹腔鏡を入れる。モニターで確認しながら、病巣を切除する。 |
人工肛門(ストマ)増設 | 肛門や直腸を手術により切除し、大腸の途中の部位に人工肛門をつくる。 |
放射線療法 | 手術前後の補助的治療。手術前にがんの縮小を図る、手術後の再発を抑える、などの目的で行われる。 |
化学療法(抗がん剤) | 手術前後の補助、進行がんの術後の再発防止のために行われる。 |
分子標的療法 | 大腸がんの増殖に影響を与えているといわれている特有の分子を攻撃し働きをブロックする、近年効果が期待されている治療法。 |
(現在、国の医療として病院で行われる一般的な治療法です。手術、抗がん剤、放射線治療を基本的に行わない国もあり、今後治療法は変わっていくかもしれません)
大腸がんになりたくない!じゃあ、どうする?
大腸がんはある程度原因がはっきりしているため、その分、予防方法も考えやすいです。
ここから考えられることを簡単にまとめると、
= 有害物質を入れない、作らない
②排泄力を高める
= 有害物質を溜めない、早く出す
大きくこの2点に集約されるのではないかと思います。
便秘が治ると、いいことだらけ
今まで好きなものを食べてきたのに、突然お肉を控えたり、ガッツリ野菜を食べたり、忙しいのに加工食品をやめて全部自炊にしたりするのは、大変だし辛いと思います。
「それができたら苦労しないよ」と言われても納得です。
ただ、大腸がんはがんの部位別死亡数の第2位。女性では1位・男性では3位。年々増加しています。
アルコールやお肉、ラーメンが好きな男性より、ヘルシー思考の女性に多い便秘。身体の構造や生理周期などのホルモンバランスの影響により、一般的に男性より女性の方が便秘になりやすい傾向にあるようです。そして、大腸がんの死亡数が多いのも女性、関連しているのでは?と思いますよね。
でも、食べるものを変えるのは難しくても、「排泄を良くする」「便秘を改善する」ことなら、取り組めることがあるのではないでしょうか?
前回の記事でも触れましたが、
「”幸せホルモン”セロトニンはほとんどが腸で作られている」
「免疫は腸で作られる」
「食事を変えればうつ病が治る」
といったことが最近言われるようになり、「便秘は万病のもと」と知られるようになってきました。
近年の腸活、ファスティングのブームも、医学的観点に基づくもの。
逆に言えば、
「腸の状態が良ければ、大腸がんだけでなく万病の予防になる」
ということでもあります。
近年の腸活、ファスティングのブームも、医学的観点に基づくもの。
便秘だと肌荒れも起こりやすい。。。
でも、気をつけていても便秘が続くときもありますよね。
私もどう頑張っても生理周期と連動して、便秘になりやすい時期があります。
なるべく常にスッキリした状態を保てるようにヨーグルトを食べたり、基本的にはバランスの取れた食事を心がけて野菜をしっかり取るよう心がけています。
あとは、シンプルに水分をしっかり取ること。水分不足だとお通じがカチコチになり、排泄しづらくなります。
自分の体質にハマるものは人それぞれだと思うので、色々な方法を試してみることをおすすめします。
まとめ:お腹の健康を保つことで、生活の質を保つ
大腸がんの恐ろしさ、腸の健康を守る大切さを知っていただけましたか?
私は、人工肛門になるのは嫌です。
大腸がん以外にも、消化管のがんは食生活と密接に関わっているといわれています。
何を食べるか、いかにきちんと出すか。
なかなか腸を意識することは少ないかもしれませんが、小さな心がけの積み重ねが予防につながり、将来の自分の生活の質を保つことにつながります。
明日、今日より健康になりますように。