「メタボリックシンドローム」という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?
”メタボ=肥満”
というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。今回は、メタボリックシンドロームについてお話ししながら、そこに潜む生活習慣病のリスクについてお伝えしていきたいと思います。
目次
「太っていたらメタボ」ではない?メタボリックシンドロームの定義
メタボリックシンドロームとは「内蔵肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をまねきやすい病態」です。
単に腹囲が大きいだけではメタボリックシンドロームにはあてはまりません。
つまり、
1.内蔵に脂肪がつくことで代謝に支障をきたし、
2.血液中の糖や脂肪の処理が正常でなくなり、
3.高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病になるリスクが高い状態
それがメタボリックシンドロームです。
高血圧や脂質異常などは別々に進行するものではなく、生活習慣の積み重ねにより重複して進行することがほとんどです。そしてこれらを放置しておくと動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞など生命に関わる病気につながっていきます。
メタボリックシンドロームの診断基準
メタボリックシンドロームは、
「内蔵脂肪の蓄積(内蔵脂肪型肥満)」であることに加え、
「脂質異常」「高血圧」「高血糖」のうち2項目以上で基準値を超えていることで診断されます。
脂肪のつき方で違う、肥満の捉え方と危険性
一般的に「肥満」とは、体脂肪率が男性で20%以上、女性で30%以上が基準となります。
ただし、肥満といわれるもの全てに医学的に問題があるとは限りません。
脂肪のつき方によって肥満のタイプは大きく2つに分けられます。
体型は気になるけど、必ずしも危険とはいえない皮下脂肪型
皮膚の下に脂肪が蓄積されるタイプです。下半身に脂肪がつきやすい若い女性に多いタイプで、その姿から「洋なし型肥満」と言われています。お腹の肉がつまみやすいのが特徴です。
脂肪細胞に蓄えられた脂肪が分解されるとき、”遊離脂肪酸”という物質ができます。この遊離脂肪酸が血液中に大量に入ると、インスリンの効きが悪くなり血糖値が上昇します。
ですが、皮下脂肪は遊離脂肪酸になりづらく、代謝への影響は比較的少ないです。
病気に関連する危険は少ない反面、ついてしまったらなかなか取れない脂肪です。
お尻とか太ももとかを減らしたい人の悩みの種になりますね・・・。
危険が潜む、内蔵脂肪型
内蔵に脂肪が蓄積されるタイプです。へそ周りが太ってくるため「りんご型肥満」と言われています。ウエスト周りがぽっこりと目立つわりにおへそから下は少しシュッとしてる、中年の男性に多い体型です。体の表面ではなく内蔵に脂肪がついているため、お腹の表面が意外と固くてつまみづらいのが特徴です。
元々、内蔵につく脂肪は腸の外側にある腸間膜というところに蓄積されるもので、内蔵の位置を固定するクッションの役割を果たすものです。この内蔵脂肪は新陳代謝が活発で、脂肪の合成と分解を繰り返しています。その結果、腸の血管から遊離脂肪酸が肝臓に運ばれ、さらに脂肪の合成を促進したり、インスリンの効きを悪くします。
この代謝が繰り返されることで高血糖や脂質異常などが起こり、代謝異常が進行していくのです。
つきやすく落ちやすい、活発で危なっかしく病気につながりやすい脂肪。それが内蔵脂肪です。
メタボを予防、改善するには
ではメタボをなんとかするには、どうすればいいのか。メタボリックシンドロームの原因は、高カロリー・高脂肪食の取りすぎ、運動不足など生活習慣の積み重ねによるものです。予防方法として以下のような方法が示されています。
<メタボリックシンドロームの予防>
1.適正な体重を維持する
2.バランスのとれた食事をする(野菜、乳製品、豆類などをしっかり取る)
3.規則正しい食事をする(朝食を抜いたり、寝る直前に夜食を取らない)
4.脂質を取りすぎない
5.塩辛い味付けは避ける
6.糖分の多い食品は食べ過ぎない(菓子やジュースなど)
7.毎日適度な運動をする(ウォーキング、ジョギングなど)
8.十分な睡眠、休養を取る
9.煙草を吸わない
10.適度な飲酒量を守る(休肝日を週2回以上設ける)
・・・
うん。
がんの予防対策とすごく重なります。
分かっていても生活習慣は簡単には直せない、でも知っていて欲しい
毒茄子どっとこむは、「一人でも多くの人に、より健康で幸せになってもらいたい」という想いで開設しました。
メタボや生活習慣病の予防方法、言葉で言うのは簡単です。
それでも、忙しくてストレスの多い現代の生活の中では、「お酒で発散したい!」「仕事後のスイーツが一番の楽しみなのに!」「タバコくらい吸わせてよ!」などと思う方がたくさんいると思います。
基本的に「どんなライフスタイルを選ぶかは、その人の自由」と毒茄子は考えています。
ただ、生活習慣病の多くは自覚症状がなく、治療や生活改善を途中で中断してしまう方が多いのが現状です。
そして放置した結果、深刻な状態に移行して初めて後悔する。そんな方がたくさんいます。
「今はなんともない」という健康な段階、または病気の手前の段階から、知識をつけておく。自分の10年後、20年後を思い浮かべて、「自分はどうありたいのか?」と未来を考えて、そのために今どうするのかを考えて行動する。
「好きなもの食べてやりたいことをやりたい放題やれたら、病気になっても本望」と思うならそれでいいんです。
ただできる限り健康な未来を望むのであれば「知るべきことを知って、自分で考えて選んで、覚悟を決めて生きる」ということが大切です。
「あなたの主治医は私ではない、あなた自身なんですよ」
尊敬する医師がよく患者さんに言っている言葉です。
健康は自己責任。自分の大切な身体を人任せにしないでください。
一人でも多くの方にこの想いが伝われば嬉しいです。