【看護学生向】肺炎:病態、治療、看護まとめ





お勉強大好きナース、毒茄子です。

勉強用コーナーは看護学生、医療系学生向けにお送りします。

「手元に教科書がないけどちょっと検索して見たい情報がある」
「レポートにまとめるときに参照したい」

といったときに教材・ノート代わりに活用して頂けるものを目指しています。あとから少しずつ、解説イラストも追加していきたいと思います。

今回は「肺炎」について書きます。

肺炎は、日本人の死因第3位の疾患です。

肺炎とは

肺炎とは、微生物などによる肺実質の炎症である。

原因

肺炎の原因には病原菌、ウイルス、食物残渣や唾液・逆流してきた胃内容物の誤嚥などさまざまな要因がある。

症状

・発熱

・呼吸器症状(咳嗽喀痰胸痛呼吸困難など)

検査

1.細菌学的検査

(1)喀痰採取

原因菌の検索に有効。可能な限り、抗菌薬治療前に採取する。

(2)血液培養

・抗菌薬治療開始前に、採血する場所を変えて複数回実施する。
・できるだけ両側の肘静脈を用いることが望ましい。
・皮膚の常在菌混入を避けるために、皮膚をていねいに消毒し、厳密な清潔手技を心がける。

(3)尿検査

レジオネラ、肺炎球菌などは、随時尿から検出できる。

2.血液検査

治療効果の評価によく用いられる項目・・・WBCCRP

項目 基準値(成人)
白血球[WBC] 4,000~8,000/μL(※文献により異なる)
C反応性タンパク[CRP] 0.3 mg/dL未満

3.動脈血ガス分析

・パルスオキシメーターを用いて酸素化の状態を把握し、酸素療法の必要性を評価する。

・酸素療法を要する場合には、動脈血ガス分析を行い、二酸化炭素分圧と酸塩基平衡状態を評価する。

4.画像検査

・胸部X線(肺炎の診断に必須)

・胸部CT(解像度が高く、胸部X線では評価の難しい病変を描出できる)

治療

原因にかかわらず、一般的治療と原因菌に対する対菌療法が中心となる。 肺炎では体力の消耗が激しいため、全身状態が悪く経口摂取が不可能な場合には、十分な水分と栄養の補給につとめる。

一般的治療

・安静 ・補液(発熱と脱水の状態に応じて)
・クーリング ・ネブライザー(喀痰の多いとき)
・体位ドレナージ
・胸壁のスクイージング
※鎮咳薬は痰を喀出しにくくなるため、慎重に使用する ・患者の状態によっては、経管栄養・中心静脈栄養も考慮する

酸素療法

低酸素血症をみとめる場合には、酸素投与を考慮する。
鼻腔カニューレ、酸素マスク、NPPVなどの人工呼吸器を状態に応じて選択する。
※COPDなどの基礎疾患を有する場合、高濃度の酸素投与によるCO2ナルコーシスに注意

抗菌薬の投与

抗菌薬の投与は、肺炎に対する最も重要な治療法である。 原因菌が判明している場合には、その原因菌に有効な抗菌薬を用いる。 不明な場合には、臨床所見や検査結果に基づいて最も可能性の高い原因菌を想定し、適切な薬剤を選択する。

分類

肺炎を考えるときには、原因菌による分類、病変の部位による分類、宿主の状態による分類、検査所見による分類などがある。とくに①病院外でかかる肺炎(市中肺炎)、②病院内でかかる肺炎(院内肺炎)、③免疫不全状態でかかる肺炎(日和見感染)の3種類に大別される。

①市中肺炎

市中肺炎とは患者の基礎疾患や免疫状態にかかわらず、病院の外で感染・発症した肺炎のこと。 30~50%では原因菌が不明とされる。

細菌性肺炎:細菌が原因となるもの

・肺炎球菌
・インフルエンザ桿菌 ・肺炎桿菌(クレブシエラ)
・モラクセラ-カタラーリス
・レジオネラ

細菌性以外のもの:異型肺炎

・クラミジア-ニューモニエ ・マイコプラズマ ⇒異型肺炎 ・マイコプラズマ肺炎やウイルス肺炎が該当する
・異型肺炎は咳嗽が強く、喀痰をあまりみとめない
・白血球の増加が軽度にとどまる、グラム染色で染色されない
・ペニシリン・セフェム系(細胞壁の合成阻害薬)が無効
・テトラサイクリン、マクロライド系(タンパク合成阻害薬)が有効

②院内肺炎

院内肺炎とは、入院48時間以降に新たに出現した肺炎をさす。

*院内感染の診断基準・・・入院48時間以降に胸部X線で新たな陰影の出現をみとめ、かつ以下の項目を1つ以上満たすもの

・症状(発熱や胸痛)、検査所見(CRP、白血球数、血沈)が合致する
・喀痰、血液、経気管支洗浄液、経気管支擦過物、生検材料から病原菌を分離する
・気道分泌物からウイルスを分離するか、ウイルス抗原を検出する (混合感染にも留意)
・血清抗体価が有意に上昇する
・病理組織学的に肺炎を証明する

院内感染のおもな原因菌

・黄色ブドウ球菌
・緑膿菌
・クレブシエラ属
・エンテロバクター属

③日和見感染

医療の進歩に伴い、生体の免疫系を強力に抑制する治療薬(移植、抗体療法など)が実用化してきている。そのため、基礎疾患や治療によって免疫機能が著しく低下した患者が増えてきている。日和見感染は、本来は病原性を持たない微生物が免疫能の低下した患者の体内で増殖し感染症を発症することをいう。

日和見感染が起こりやすい状況

・悪性腫瘍、白血病、悪性リンパ腫
・免疫抑制薬、副腎皮質ステロイド使用中
・臓器移植後
・栄養不良
・膠原病
・糖尿病
・腎不全
・栄養障害

注意すべき点

(1)体内の常在菌や、正常な免疫状態では感染・発症しないような病原体が原因となることがある。
(2)複数の微生物が関与したり、1つの感染症が克服されてもまた次の異なる感染症を発症することがある。
(3)宿主の免疫反応が低下しているために、むしろ炎症反応があらわれにくく、発熱をみとめなかったり胸部X線で陰影がはっきり見えないことがある。

日和見感染を引き起こす要因

(1)顆粒球減少

顆粒球の減少が問題になるのは、がんや血液疾患に対する化学療法である。顆粒球数 500/μL以下になると、細菌ではMRSA、緑膿菌、大腸菌、クレブシエラ属、 真菌ではカンジダ、アスペルギルスによる感染症をおこしやすい。

感染対策
・施設の換気設備
・フィルターの管理
・隔離室の陽圧化
・医療従事者の入室前後の手洗い

(2)細胞性免疫障害

細胞性免疫が低下する病態

・悪性リンパ腫
・白血病
・慢性腎不全
・副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬の長期使用

細胞性免疫機能低下時に合併しやすい感染症の原因微生物

1)細菌
・サルモネラ
・抗酸菌
・ノカルジア ・リステリア

2)ウイルス
・単純ヘルペスウイルス
・水痘-帯状疱疹ウイルス
・サイトメガロウイルス

3)真菌
・クリプトコッカス
・カンジダ

(3)液性免疫障害

血清IgG 500mg/dl以下のときには、液性免疫不全を考慮する。

液性免疫障害の原因

・先天的なγグロブリンの低下
・悪性リンパ腫
・慢性骨髄性白血病
・重症ネフローゼ症候群
・熱傷
・脾臓の喪失・機能低下

原因となる菌

・肺炎球菌
・インフルエンザ菌
・クレブシエラ属

肺炎患者の看護

(1)気道の洗浄化

気道内分泌物を除去する。

(2)酸素療法

肺の動脈血ガス分析値が通常範囲になり、呼吸困難が消失する。

①患者の呼吸状態、意識レベル、酸素飽和度、動脈血液ガス分析値などをモニタし、アセスメントする。
②指示に従い効果的な酸素吸入を行う。 患者の基礎疾患に慢性肺疾患がある場合には、意識レベルの変化などを注意深くアセスメントする。
③状態が悪化し人工呼吸器の装着が予測される場合には、気管挿管と人工呼吸器の準備を整える。

(3)安静

身体の治癒能力を促進するため、心身の安静を保持する。

①静かで落ち着ける環境をつくる。
②心身の安静により、酸素消費量を最小にし、体力の消耗を防ぐ。 回復のためには十分な休息が必要であることを説明し、日常生活動作を行うときにはゆっくりと動くこと、活動の途中で休息をとることをすすめる。
③患者をセミファウラー位とし、安楽に呼吸ができるように援助する。
④呼吸困難や発熱は患者の不安を増幅するため、一時的な症状であることを説明して安静をはかる。
⑤労作後には、患者の呼吸状態、脈拍数、チアノーゼの徴候を観察する。観察結果をもとに、活動レベルを検討する。

(4)鎮痛

炎症が胸膜まで及ぶと、呼吸に伴い強い胸痛を感じるようになる。激しい胸痛は苦痛となり、呼吸や咳嗽を 妨げるため、安楽に呼吸ができるように援助する。

①胸痛により呼吸や咳嗽が妨げられる場合は、指示されあ鎮痛薬を投与し、患者の反応をアセスメントする
②咳嗽時に痛みのある部分を圧迫する方法を指導する。
③胸膜の摩擦に伴う疼痛を緩和する体位(患側を下にした側臥位)を工夫する。

(5)栄養状態

感染による代謝需要の増加に対し、水分・栄養摂取の不足を補う。

①不感蒸泄量の増加に伴い、脱水になっていることもあるため、栄養状態・水分摂取と排泄、消化器症状をアセスメントする。
②感染により代謝が増加するため、回復のために質・量ともにバランスがよく(高タンパク・高エネルギー・ 高ビタミン)、刺激が少なく、消化のよい食事が必要であることを説明する。
③必要な栄養が摂取できるように援助する。気道内分泌物を排出しやすくするため、十分に水分が摂取できるように援助する。
④食事の環境を整え、食事がすすむよう工夫する。
⑤必要に応じて、家族・キーパーソンに、患者の嗜好に合った食事の差し入れなどを依頼する。
⑥全身状態が悪く経口摂取ができない場合は、医師の指示により経管栄養や中心静脈栄養を開始する。

(6)化学療法

再発を予防するため、抗菌薬による化学療法について理解し、実行する。

①肺感染症を再発しやすくなっているため、体調がよくなっても独自の判断で薬物療法を中断しないように、その必要性、治療効果、出現する可能性のある副作用について説明し、理解を得る。
②退院後、軽度の感染で安易に抗菌薬を内服しないように指導する。安易な抗菌薬の投与は、耐性をつくる可能性がある。
③化学療法、服薬方法に対する患者の理解度をアセスメントする。

(7)感染予防

感染の広がりを抑えるための方法を理解し、実行する。

①くしゃみや咳嗽をするときには、ティッシュペーパーで口や鼻を押さえ、飛沫を防ぐよう指導する。使用したティッシュペーパーは所定の場所に捨てる。
②ティッシュペーパーを捨てた後は、手洗いをするよう指導する。
③口腔内の清潔を保つように指導する。

(8)再発防止のための生活指導

日常生活上の注意事項を理解し、自己管理をすることができる。

①完全な回復と再発防止のためには、十分な休息と規則的な生活習慣を確率する必要があることを説明。日常生活行動の範囲は徐々に広げていき、仕事への復帰については、医師と相談して決定する。
②タバコ、ほこりなど気道を刺激するような物質を避けるように指導する。
③微生物によって引き起こされた肺炎で鳥、ペットが感染と関連していた場合は、再発防止に向け指導する
④深呼吸訓練、効果的な咳嗽による気道浄化の必要性と方法を指導する。
⑤肺炎球菌ワクチンやインフルエンザの予防接種を受けるように指導する。
⑥状態が悪化した場合の徴候についての理解を確認し、対処方法を説明する。